公開日: 2026年9月6日 / 最終更新日: 2026年9月6日
「106万円の壁」と「130万円の壁」、どちらも年収の壁を指す言葉なのに中身が違う——そんなふうに感じたことはありませんか。実はこの2つ、判定している対象そのものが違います。この記事では、2つの壁の違いを整理したうえで、自分自身の働き方にはどちらが関係するのかを判断できるようにします。
結論を3行で
- 106万円の壁は「勤務先の社会保険に加入するかどうか」、130万円の壁は「家族の扶養に入れるかどうか」を判定する、まったく別の制度です。
- 106万円の壁の要件を満たして自分の勤務先で社会保険に加入すれば、130万円の壁は判定対象外になります。
- 2026年10月に106万円の壁の賃金要件が撤廃され対象者が増えるため、結果的に130万円の壁を気にする必要がある人自体も減っていく見込みです。
2つの壁は何を判定しているのか
まず大前提として、2つの壁は判定している内容がまったく異なります。
| 106万円の壁 | 130万円の壁 | |
|---|---|---|
| 判定内容 | 勤務先の社会保険に加入するか | 家族(配偶者等)の扶養に入れるか |
| 関係する制度 | 厚生年金保険・健康保険(被用者保険) | 健康保険の被扶養者認定、国民年金第3号被保険者 |
| 判定するのは誰 | 自分の勤務先 | 扶養する側(配偶者等)の勤務先・加入する健康保険 |
| 2026年の変更点 | 10月に賃金要件が撤廃 | 4月に判定方法が労働契約ベースへ変更 |
106万円の壁のおさらい
106万円の壁は、正社員の4分の3未満しか働かない短時間労働者が、勤務先(特定適用事業所)で社会保険に加入するかどうかの基準です。詳しい要件は社会保険の加入条件とは?で、2026年10月の改正内容は106万円の壁の廃止で解説しています。ここで加入対象になれば、次章の130万円の壁を検討するまでもなく自分自身が社会保険の被保険者になります。
130万円の壁とは
130万円の壁は、配偶者や親などの扶養に入り続けられるかどうかの基準です。年間の収入見込みが130万円未満(かつ扶養者の年収の2分の1未満等の要件)であれば、健康保険の被扶養者、国民年金の第3号被保険者として、自分自身で保険料を負担せずに済みます。政府全体の対策の経緯は首相官邸の「年収の壁」対策ページにまとまっています。
この判定方法は2026年4月から大きく変わりました。従来は残業代等を含めた実績収入から将来を予測する方式でしたが、新方式では「労働条件通知書」や「雇用契約書」に記載された基本給・手当・賞与など、契約上の賃金をもとに判定します。残業代のような所定外賃金は原則として対象から除外されます。
注意
新方式では、社会通念上妥当な範囲の一時的な収入増加(繁忙期の残業増等)は扶養の判定に影響しないとされています。ただし、その年限りで発生する臨時収入が判定対象外という扱い自体は従来と変わりません。労働条件が更新された場合は扶養の再判定が必要になるため、契約変更のたびに確認が必要です。
結局どちらが自分に関係する?判断の順番
自分にとってどちらの壁が関係するかは、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- 勤務先が特定適用事業所(2026年8月時点で厚生年金保険の被保険者数51人以上)かどうかを確認する。
- 該当する場合、106万円の壁の要件(2026年10月以降は週20時間以上・雇用期間2か月超見込み・非学生)を満たすかを確認する。満たせば、収入額にかかわらず勤務先で社会保険に加入することになり、130万円の壁は関係なくなります。
- 106万円の壁の対象にならない場合は、130万円の壁(扶養の可否)を確認する。この場合は、扶養している配偶者等の勤務先を通じた被扶養者認定の判定が基準になります。
2026年10月に106万円の壁の対象者が広がるということは、裏を返せば「130万円の壁ではなく106万円の壁で判定される人」が増えるということでもあります。今後は130万円の壁を意識する場面自体が徐々に減っていく見込みです。
よくある質問
よくある質問
Q. 106万円の壁を超えたら、扶養からも自動的に外れますか?
Q. 勤務先の厚生年金保険の被保険者数が51人未満の会社の場合、どちらの壁を見ればよいですか?
Q. 2026年4月の130万円の壁の判定方法変更で、何が一番変わりましたか?
まとめ
- 106万円の壁は「勤務先の社会保険加入」、130万円の壁は「家族の扶養」を判定する別の制度です。
- 106万円の壁の対象になれば、130万円の壁は判定対象外になります。
- 130万円の壁は2026年4月から契約上の賃金で判定する方式に変わり、一時的な収入増加の影響を受けにくくなりました。