源泉徴収とは?給与計算での所得税の計算方法をわかりやすく解説

公開日: 2026年9月6日 / 最終更新日: 2026年9月6日

「毎月の給与計算で、所得税をいくら引けばいいのか分からない」——給与計算を担当することになった方が、最初につまずきやすいのが所得税の源泉徴収です。実は、「源泉徴収税額表」という早見表の読み方さえ覚えてしまえば、毎月同じ手順で計算できます。この記事では、源泉徴収の仕組みと計算方法、実務上の注意点を解説します。

結論を3行で

  • 源泉徴収とは、会社が従業員の給与から所得税をあらかじめ差し引き、本人に代わって国に納める制度
  • 税額は「源泉徴収税額表」に、社会保険料控除後の給与額と扶養親族等の人数を照らし合わせて求める
  • 毎月の源泉徴収額はあくまで概算であり、年間の正しい税額との過不足は年末調整で精算する

源泉徴収とは?なぜ会社が所得税を天引きするのか

源泉徴収とは、会社が「源泉徴収義務者」として所得税を天引きし、国に納付する制度です。給与を支払う会社は、原則として全て「源泉徴収義務者」となり、従業員に給与を支払う都度、そこから所得税を天引きして国に納付する義務を負います。従業員本人が確定申告をして納税するのではなく、会社が代わりに徴収・納付することで、国の税収を早期かつ確実に確保する仕組みです。

源泉徴収税額の計算方法

源泉徴収税額は、社会保険料控除後の給与額と扶養人数を「源泉徴収税額表」に照らして求めます。毎月の源泉徴収税額は、次の手順で求めます。

  • ①計算の基礎となる金額を出す:その月の給与総額から、社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)を差し引いた金額を求めます。
  • ②源泉徴収税額表(月額表)にあてはめる:①の金額と、扶養親族等の人数(および後述する甲欄・乙欄の区分)を、国税庁が毎年公表する源泉徴収税額表にあてはめて税額を求めます。

源泉徴収税額表は毎年改定されるため、必ずその年分の最新の表を使う必要があります。特に令和8年分は、後述する基礎控除の引き上げなど大きな税制改正があった年ですが、税額表そのものへの反映時期には注意が必要です。

注意

令和8年分の基礎控除は本則62万円に引き上げられ、合計所得489万円以下の場合は特例加算により最大104万円になります(給与所得控除の最低保障額も65万円→74万円に引き上げ)。ただし、この特例加算分は年間の所得が確定しないと金額が定まらないため、毎月の源泉徴収(1〜11月支給分)の段階では反映されず、12月の年末調整でまとめて精算される仕組みです。改正後の基礎控除額を反映した源泉徴収税額表(月額表)そのものの施行は令和9年(2027年)1月1日からとなる予定のため、令和8年分の毎月の源泉徴収では現行の税額表を使い続ける点に注意してください。具体的な税額は必ず国税庁公表の最新の源泉徴収税額表で確認してください(出典参照)。

甲欄・乙欄・丙欄の違い

「扶養控除等申告書」を提出しているかどうかで、甲欄・乙欄が変わります。源泉徴収税額表には「甲欄」「乙欄」(日額表には「丙欄」)の区分があり、同じ給与額でも適用される欄によって税額が大きく変わります。

区分 対象となる従業員
甲欄 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」をその会社に提出している従業員(主たる勤務先である場合)
乙欄 申告書を提出していない従業員(副業先・2か所目以降の勤務先など)
丙欄(日額表のみ) 日雇賃金や、2か月以内の期間を定めて雇用する短期のパート・アルバイトなど

扶養控除等申告書は「その年最初の給与の支払日の前日まで」に主たる勤務先へ提出してもらう必要があります。提出が遅れると、本来は甲欄が適用されるはずの従業員でも、その月は乙欄で計算せざるを得なくなる点に注意してください。2か所以上から給与を受け取っている従業員の扱いについては、国税庁「2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収」も参考にしてください。

賞与の源泉徴収の考え方

賞与の源泉徴収は、給与とは別の税額表・計算方法を使います。賞与(ボーナス)の源泉徴収税額は、月々の給与用の源泉徴収税額表ではなく、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」という別の表を使って計算します。前月の給与額をもとに算出率を求める仕組みになっており、月々の給与計算とは考え方が異なります。賞与計算特有の論点(社会保険料の扱いを含む)は、別の記事で改めて詳しく解説する予定です。

源泉徴収した所得税の納付

源泉徴収した所得税は、原則として翌月10日までに納付します。源泉徴収した所得税の納付には、原則と特例の2通りがあります。

  • 原則:給与を支払った月の翌月10日までに、税務署へ納付します。
  • 納期の特例:給与の支払を受ける人数が常時10人未満の会社は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出することで、1〜6月分をまとめて7月10日までに、7〜12月分をまとめて翌年1月20日までに納付する、年2回の納付方式を選択できます。

源泉徴収でよくあるミス・注意点

甲欄・乙欄の適用誤りと、扶養人数の反映漏れが実務上のミスになりやすいポイントです。

  • 甲欄・乙欄の適用誤り:扶養控除等申告書の提出状況を確認せずに甲欄で計算してしまうと、本来より少ない税額で徴収してしまうことがあります。
  • 扶養親族数の反映漏れ:結婚・出産・扶養家族の異動があった際に、従業員から会社への申告(異動申告書の提出)が遅れると、実態と異なる人数のまま計算を続けてしまうことがあります。
  • 税制改正への対応漏れ:源泉徴収税額表や申告書の様式は毎年のように改正されます。特に令和8年分は基礎控除の引き上げなど大きな改正があるため、その年分の最新の表・様式を必ず確認してください。

よくある質問

Q. 源泉徴収税額表はどこで確認できますか?

A. 国税庁が毎年公表しています。令和8年分は基礎控除の引き上げなどの改正がある年ですが、毎月の源泉徴収に使う表そのものへの反映時期は年によって異なるため、必ずその年分の最新の表を確認してください。

Q. 源泉徴収額を間違えて多く/少なく徴収してしまったらどうすればいいですか?

A. 気づいた時点で従業員に説明したうえで、次回以降の給与で過不足を調整するのが基本的な対応です。最終的な精算は年末調整でも行われます。

Q. パート・アルバイトも源泉徴収は必要ですか?

A. 雇用形態にかかわらず、給与を支払うすべての人が源泉徴収の対象です。2か月以内の期間を定めた短期雇用の場合は、日額表の丙欄が適用されるケースがあります。

まとめ

  • 源泉徴収は「源泉徴収税額表」に給与額と扶養人数を照らして毎月計算する
  • 甲欄・乙欄・丙欄の判定を誤ると税額が大きく変わるため、扶養控除等申告書の提出状況を必ず確認する
  • 令和8年分は基礎控除引き上げ(本則62万円、特例加算後最大104万円)など大きな税制改正があるが、税額表への反映時期は改正内容によって異なるため、税額表・申告書の最新版を必ず確認する