公開日: 2026年9月6日 / 最終更新日: 2026年9月6日
「うちの会社は、社員に有給休暇を何日与えればいいのだろう」「勤続年数が増えたら日数はどう変わる?」——年次有給休暇の付与日数は労働基準法(e-Gov法令検索)で細かくルールが決まっており、勘違いしたまま運用すると法違反につながりかねません。この記事では、フルタイム従業員を中心に、有給休暇の付与条件・日数の数え方・繰越や時効のルールまで、経営者・労務担当者が押さえておくべき基本を整理します。
結論を3行で
- フルタイムの正社員は、入社日から6か月継続勤務し、その間の出勤率が8割以上であれば有給休暇が10日発生する。
- その後は勤続年数に応じて日数が増え、勤続6年6か月以上で年20日が上限になる。
- 使いきれなかった分は翌年度に繰り越せるが、繰越を含めて2年で時効消滅する。
有給休暇の基本ルール(付与条件)
年次有給休暇は、以下の2つの条件を満たしたすべての労働者に発生します。正社員・パート・アルバイトといった雇用形態は関係ありません(ただし週の所定労働日数が少ない場合の日数の考え方は異なります。詳しくはパート・アルバイトの日数早見表で解説しています)。
- 雇入れの日から6か月間、継続して勤務していること
- その6か月間の全労働日のうち、8割以上出勤していること
この2条件を満たすと、フルタイム勤務(週5日・週30時間以上が目安)の従業員には自動的に10日の有給休暇が発生します。会社が「与える・与えない」を選べるものではなく、条件を満たした時点で法律上当然に発生する権利です。
注意
有給休暇は「申請して承認されるもの」ではなく「条件を満たせば法律上当然に発生するもの」です。就業規則に「有給休暇は会社が認めた場合に付与する」のような記載があっても、法定の発生要件を上回る制限を課すことはできません。
勤続年数ごとの付与日数早見表
2回目以降の付与日数は、最初の付与日(雇入れから6か月時点)を基準に、勤続年数に応じて以下のとおり増えていきます。フルタイム勤務の場合の日数は次のとおりです。
| 勤続年数 | 付与日数 |
|---|---|
| 6か月 | 10日 |
| 1年6か月 | 11日 |
| 2年6か月 | 12日 |
| 3年6か月 | 14日 |
| 4年6か月 | 16日 |
| 5年6か月 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 20日(上限) |
勤続6年6か月以降は、その後何年勤務しても年20日が上限です。付与日は「入社日から6か月後」を基準にした個人ごとの日付になるため、入社時期がバラバラな会社では、社員ごとに付与日がずれる点に注意が必要です(管理の手間を減らすため、就業規則で「基準日を4月1日等に統一する」といった斉一的取扱いを導入する会社もあります)。
出勤率(8割要件)の数え方と特例
出勤率は「出勤日数 ÷ 全労働日」で計算します。単純に休んだ日数が多いと発生しない可能性がある一方、次のような休業は「出勤したもの」とみなして計算する特例があります。
- 業務上のケガ・病気による休業期間
- 産前産後休業の期間
- 育児・介護休業法に基づく育児休業・介護休業の期間
- 年次有給休暇を取得した日
これらの期間を「欠勤」として扱い出勤率を下げてしまうと、本来発生するはずの有給休暇が発生しない誤った運用になるため注意しましょう。
パート・アルバイトの場合は?
週の所定労働日数・所定労働時間が少ないパート・アルバイトにも、条件を満たせば有給休暇は発生します。ただし所定労働日数に応じて日数が少なくなる「比例付与」という別の計算方法が使われます。週1日勤務から週4日勤務まで、パターンごとの具体的な日数は、有給休暇の比例付与とは?パート・アルバイトの日数早見表で早見表にして解説しています。
有給休暇の繰越と時効
その年度に使いきれなかった有給休暇は、翌年度に繰り越すことができます。ただし有給休暇の請求権には時効があり、付与日から2年で時効消滅します。つまり繰越を含めても、実質的には「発生した年度」と「その翌年度」の2年間でしか使えません。
注意
時効で消滅した有給休暇を会社が金銭で買い取る義務はなく、原則として買取り自体が違法とされるケースもあります。退職時の未消化分の扱いを含め、買取りに関する考え方は退職時の有給休暇はどうなる?消化拒否・買取ルール・消化しきれない場合の対応で詳しく解説しています。制度の全体像は、厚生労働省の年次有給休暇取得促進特設サイトでも公式に案内されています。
会社は取得を拒否できる?(時季変更権)
有給休暇は労働者が取得したい日を指定して請求するもので、会社は原則として取得を拒否できません。取得理由を伝える義務もなく、私用・旅行など理由は問われません。
例外的に、事業の正常な運営が妨げられる場合に限り、会社は取得日を他の日に変更するよう求める「時季変更権」を行使できます。ただし単に「人手が足りないから」「繁忙期だから」というだけでは認められにくく、あくまで代替要員の確保が困難といった具体的な事情が必要です。取得させない運用を続けると、2019年から義務化された年5日の取得義務違反にもつながりやすく、この点は有給休暇を取得させない社員への対応と年5日取得義務の実務で詳しく解説しています。
よくある質問
Q. 入社してすぐでも有給休暇は使えますか?
Q. 契約社員・派遣社員にも有給休暇はありますか?
Q. 有給休暇はいつまでに消化しないと消えますか?
Q. 有給休暇を取得する理由を会社に伝える必要がありますか?
Q. 半日単位や時間単位で有給休暇を取得できますか?
まとめ
- フルタイム(週5日等)の正社員は、入社から6か月継続勤務・出勤率8割以上で10日の有給休暇が発生する
- 勤続年数に応じて日数は最大20日まで増え、繰り越しても2年で時効消滅する
- 原則として理由を問わず取得でき、事業に著しい支障がある場合のみ会社は時季変更を求められる